心不全の症候

【第52回午後65】

心不全の症候として正しいのはどれか。2つ選べ。

1.肺水腫

2.肝脾腫

3.起坐呼吸

4.下腿浮腫

5.チアノーゼ

 

 

〈解説〉

心不全とは

➡️心臓のポンプ機能が障害され、心拍出量低下、末梢循環不全、肺・体循環の鬱血をきたす病態。

心不全に続発して右心不全が起こることが多い。

 


1.肺水腫

➡️肺毛細血管から水分が血管外に漏出し、異常に貯留している状態。水分だけでなく、赤血球などの血球成分も漏出する。


○発生原因と発生機序

⇨心原性肺水腫が最多

①左心不全により左房圧が上昇

②肺うっ血が起こる(肺静脈圧上昇)

③肺毛細血管の静水圧が上昇

④水分が血管外へ漏出し、肺水腫を引き起こす


よって、肺水腫は左心不全の症候であるため誤り。

 

 

 

2.肝脾腫

➡️ 何らかの疾患の症状として、肝臓や脾臓が肥大すること。肝臓が大きくなることを肝腫大、脾臓が大きくなることを脾腫大という。


○発生機序

①右心不全により右房圧が上昇

②中心静脈圧、全身の静脈圧が上昇

③体静脈系がうっ血し、下大静脈に直接流入する肝臓、脾臓(門脈を介する)が腫大


よって、肝脾腫は右心不全の症候であり正しい。

 

 

3.起坐呼吸

➡️臥位時では呼吸困難が増悪するが、起き上がることで呼吸困難が軽減する。

・臥位時では静脈還流量が増加し、鬱血が増悪するため呼吸困難を引き起こす。

・座位時では臥位時と比較し静脈還流量が低下するため、鬱血が軽減し、呼吸困難の軽減につながる


起坐呼吸と発作性夜間呼吸困難は進行例でみられ、左心不全が原因であるため誤り。

 

 

4.下腿浮腫

➡️肝脾腫と同様、右心不全により体静脈系のうっ血により生じる。よって正しい。

 


5.チアノーゼ

➡️ 血液の中の酸素が欠乏し、皮膚や粘膜が青黒くなることを指す。

心不全により心拍出量が低下し、諸臓器への血液供給量が低下する。そのため、酸素供給量が低下し、チアノーゼが起こる。


チアノーゼは左心不全の症候であるため誤り。

 

従って、答えは2,4

 

○右心不全の症状

f:id:yatto-pt23:20191212181044j:image

 

○左心不全の症状

f:id:yatto-pt23:20191212181120j:image