運動や食事のタイミングがエネルギー代謝に及ぼす影響
今回は、
「運動や食事のタイミングがエネルギー代謝に及ぼす影響」
という特集を読んだので
その内容についてまとめていきたいと思います。
○運動のエネルギーとして
糖質と脂質はいつ使われるの?
運動前に食事(特に糖質)を摂取すると、
運動時の糖質酸化量が増大し、
脂質酸化を抑制します。
➡️運動のエネルギーとして糖質が優先的に使われ、
脂質はエネルギーとして使われにくくなります。
これは食事摂取後、約4時間継続するため、
(1日3食の場合)活動時間のほとんどが
糖質をエネルギーとして運動している
ということになります。
一方で、
食事と食事の間が最も長い
夕食から翌日の朝食までの時間(8〜12時間)を
『一晩絶食』といい、
この一晩絶食状態で運動を行うと
食事による脂質酸化の抑制を受けないため、
運動時のエネルギーとして
脂質を使う割合が多くなります。
一晩絶食時の運動が
脂質酸化量を増大させる要因として
①アドレナリン、ノルアドレナリンなどの影響
②脂肪分解に関与する酵素の活性化
③グリコーゲンの増減
が挙げられ、
この中でも特にグリコーゲンの増減
が関与していると言われています。
○グリコーゲンの減少が
脂質酸化量を増大させる
グリコーゲンとは、
主に骨格筋や肝臓に貯蔵されている
糖質のエネルギー源であり、
近年では、グリコーゲンは単に
エネルギー源として貯蔵されているだけではなく、エネルギー代謝を調節する役目
を担っているとも言われています。
特に肝臓内のグリコーゲンが減少することで
エネルギー基質を糖質から脂質に
切り替えていることが明らかとなっています。
肝臓は身体活動のない睡眠時間であっても
血糖値を維持させるために
グリコーゲンを分解しており、
一晩絶食状態における
肝臓のグリコーゲンは約40%減少している
と言われています。
このことから、
一晩絶食状態ではエネルギー基質を
糖質ではなく脂質に切り替えており、
脂質酸化量が増大すると考えられます。
➡️つまり、体脂肪を落としたい場合は、
この一晩絶食状態での運動が適している!
しかし、
運動パフォーマンスは
朝より夕方〜夜の方が運動パフォーマンスが高く、
グリコーゲン量は
多い状態の方が、少ない状態よりも
運動パフォーマンスは高い
と言われており、
自然と朝は夕方よりも運動強度は低くなります
➡️総運動量、エネルギー消費量が少なくなり、
体脂肪を減らすには不向き
とも考えられています。
○一晩絶食状態を作り出すことは可能?
一晩絶食状態を作り出すことは
可能であると考えられています。
例えば、
朝、昼、夕食で、昼食を抜くことにより
一晩絶食状態を作り出すことができます。
この時間帯であれば、
朝に起こる一晩絶食状態よりも
運動パフォーマンスは高く、
消費エネルギー量も多くなり
体脂肪を減らしやすくなると考えられます。
ただし、デメリットとしては
○普段の日中と比較すると
運動パフォーマンスが低下してしまう点
○1日3食を前提とするのであれば
欠食した昼食を補うタイミングを
見出すことが困難であり、
生活において習慣づけるという観点では難しい
といったことが挙げられます。
まとめ
・一晩絶食での運動が脂質酸化量を増大させるのは、肝臓グリコーゲン量の減少が引き金となっている。
・運動や食事のタイミングによりエネルギー代謝が異なり、パフォーマンスにも影響する。
岩山海渡.運動や食事のタイミングがエネルギー代謝に及ぼす影響.体力科学.2019.67(5).351-356