【終末伸展回旋(スクリューホームムーブメント)】

 

今回は膝関節の基本的な構造である

終末伸展回旋(スクリューホームムーブメント)

についてまとめていきます。

 


スクリューホームムーブメントとは?


膝関節を完全伸展させて

膝をロッキングさせるには

約10°の外旋が必要となります。

 

膝関節の最終伸展域30°くらいの範囲から

見られる不随意のねじれ運動に基づいて、

この回旋ロッキング作用を

終末伸展回旋(スクリューホームムーブメント)

と言います。


簡単に説明すると、

 

膝関節を伸展させると

それに伴い脛骨が外旋し、

膝関節をカチッとロックさせる機構

 

のことです。

 

 

スクリューホームムーブメントの機能


膝関節の複合した外旋と伸展(完全伸展位)では、

大腿骨と脛骨の関節面の

接触面積が最大になります。

 

したがって、

 

膝関節の関節適合性を増加させ、

膝関節を安定させます。

 


この機能が生じないと、

立位時に筋肉で支える事となり、

筋肉にとても負荷がかかります。

 

つまり、

 

この回旋、ロック機構があるおかげで

骨で支える事が可能となり、

筋力に頼る事なく立つ事ができるため、

長時間立つ事が出来るようになっています。

 


スクリューホームムーブメント

を誘導する因子

大腿骨上の脛骨最終伸展中、

以下の3つの因子が

膝関節のロッキングに関与します。

 

①大腿骨内側顆の形状

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大腿骨内側顆の関節面は外側顆よりも長いため、

回旋なく真っ直ぐ伸びた場合、

外側顆は伸展30°程度で最終可動域となりますが、

内側顆の関節面はまだ余った状態になります。

また、余った関節面は外側へ曲がっています。

 

そのため、

伸展30°〜完全伸展時には

脛骨関節面が大腿骨内側顆の

残りの関節面を滑るように走行するため

膝関節の伸展と外旋が複合して生じます。


よって、大腿骨内側顆の形状が

スクリューホームムーブメントを引き起こしている

1番の要因となっています。

 


〜補足〜

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内側脛骨大腿関節:375m㎡

外側脛骨大腿関節:275m㎡

関節顆自体は外側顆の方が大きいですが、

関節面は内側顆の方が大きいのです。

 

 

②前十字靭帯の緊張

前十字靭帯の走行:

脛骨前顆間区から大腿骨顆外側後方を斜めに走行し、脛骨を外旋方向へ誘導する


機能:

脛骨が前に行き過ぎないように制御

膝の回旋を制御


前十字靭帯は膝関節伸展位で緊張、

屈曲30°位で弛緩します。

(さらに屈曲角度が大きくなると緊張する)

 

つまり、

膝関節を伸展させると

前十字靭帯が緊張し脛骨を引っ張り、

外旋運動を誘導します。

 


大腿四頭筋の外側への牽引(Q-angle)

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Qとは、Quadriceps(大腿四頭筋)のことです。

Q-angleは正常値14°で、

大腿四頭筋筋力が脛骨を外側に牽引します。

 

つまり、

大腿四頭筋の走行も

脛骨を外旋させる要因の1つ

となっている事がわかります。

 


スクリューホームムーブメントの観察

スクリューホームムーブメントを観察するには

以下の方法があります。

 

1.膝関節90°屈曲位で端座位をとらせる

 

2.脛骨粗面と膝蓋骨尖との間の皮膚上に線を引く

 

3.膝関節を完全伸展させる

 

4.2と同様に脛骨粗面と膝蓋骨尖との間に線を引く

 

完全伸展時に脛骨粗面が膝蓋骨尖よりも

外側に移動されていれば

正常にこの機能が生じている

という事が確認できます。

 

まとめ

3つの因子により

スクリューホームムーブメントは起こり

膝関節の安定に一役買っている

 

骨形成上の理由で

最終伸展30°くらいから

5~10°のスクリューホームムーブメントが起こる

 

カラー版 筋骨格系のキネシオロジー 原著第2版.D.A.Neumann.医歯薬出版株式会社.p581